タイコ

去年の夏前、和太鼓の練習をした。
日本古来の打楽器。

大体リズム感は良い方だと思っていたので、簡単に考えて始めた。
が! これは間違いだった。

リズムを取れるのはモチロン、踊りの要素もあり、それを音にして表すという、総合的な能力を必要とした。

2本のバチを使って音を出すのだが、指先でリズムを刻むようなヤワなものじゃない。大きく振りかぶって打ち、また元の位置まで腕を戻さなければならない。

『トトンガトン』・・・の『ガ』で、真上まで戻すわけで、指先みたいにちょっと浮かせばいいのとは訳が違う。
『トトンガトン、カッカ、トンガトン、カッカ』の
『カッカ』で縁を叩くのも上からではダメで、横から弾ませるように軽く打たなくてはいけない。

踊りは見て美しい事が第一だが、太鼓の場合、さらに振り落としたバチの出す音が整っていなければならない。
強そうに、あるいは弱そうに <見せる> だけではいけないのだ!
実際の音を強く、弱くコントロールしなければならない。

リズムのパターンも多い。
『トントトトントン、すっトンすっトン』  『すっ』は間だ。

『トントトトントン、トントトトントン、すっトントントン、カカカッツカ』

『トントトトントン・・・・(三回繰り返し)、カカカッカ
すっトンすっトン・・・・・』あれ?何回だっけ?

単純なリズムの繰り返しと言えばそうなんだろうけれど、順番を覚えるのが大儀であった。
何か音楽がバックに流れてくれれば、少しは楽かもしれない。
メロディーに合わせる事もできる。
けれど・・・・無い。

ひたすら打つだけ。間違えるとどんどんズレていく。
「おい!違うぞ!」怒声が飛ぶ。
「すみません」なんて謝っている暇もない。
とにかく、自分が何処を打っているのか、掴むしかない。
わからない! もう、泣きそうだ。
泣いたって意味は無い。 怒声は罵声に変わる。

あああああ・・・・・・・!!!!
うおおおおおおお!!
お~~~!

甘いものではない。 終わって手を見ると血だらけ!
マメが破れ、皮膚がズル剥けだ。

ひと夏ではあったが、凄まじい経験をした。
今年もお誘いを受けたが・・・・・・。

今、ちょっと、ドラムに興味有りで・・・。
そう! 友達の兄貴が使わないで放ったらかした音の消せるドラムが眠ってるというのだもの、大いに魅力じゃないか!!

懲りない あんである。



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